今回は和文書体の歴史をお話ししながら、スタイリッシュかつ温かみのある游ゴシックの魅力をご紹介します。
DESIGNER
S.N.
和文書体の分類をみなさん、いくつ知っていますか。 明朝体やゴシック体の2つはよく耳にすると思いますが他は、頑張って教科書体がでるかでないかでした。
和文書体は大きく7種類に分類することができます。
◎明朝体
※1:漢字の横の線のこと
※2:漢字の縦の線のこと
◎ゴシック体
◎楷書体(かいしょたい)
◎教科書体
◎隷書体(れいしょたい)
◎宋朝体(そうちょうたい)
◎篆書体(てんしょたい)
書体の分類の7つをご紹介しました。
7つを比べると「ゴシック体」がシンプルな書体であるとわかります。
ここからは「游ゴシック」の背景についてご紹介します。
◎游明朝体 2002年に発売された游明朝体。字游工房初の独自書体です。
書体のコンセプトは、新しい本格的な本文明朝を作り、藤沢周平の小説を組める書体を基本としています。
そこで、活版印刷に立ち返ることにしたそうです。
長文縦組みに適合し、ベタ組みを基本としました。
伝統的な形を継承しつつ、抑揚のあるしっかりしたものを目指しました。
仮名は秀英書体をベースにデザインをしています。
字游工房の設立メンバーさんの鈴木勉さんが制作をしていましたが病に倒れ、途中から鳥海修さんと字游工房の社員によってつくられました。
◎游ゴシック 2008年に発売されました。
長文でも読みやすいことをコンセプトに、游明朝をベースに游明朝と一緒に使うことを想定して作成されました。
英数字はFranklin Gothicを手本にデザインされています。
こぶりなゴシックとよく似ていますが、游ゴシックはすべての角が丸くなっており、より大人のデザインになっているそうです。
今回、游ゴシックとNoto Sans Japaneseを比べて、游ゴシックを分析します。
Noto Sans JapaneseはGoogleとAdobeが共同に開発したWebフォントです。
世界のあらゆるフォントをサポートすることを目標に作られました。
フォントウェイトの数が多く、使いやすいフォントです。また、無償で配布されています。
游ゴシックとNoto Sans Japaneseを比べてわかったことは以下の4つです。
ここまでは、游ゴシックって明朝体の形を継承しているゴシック体なんだ。と感じました。
残り2つを細かく見ていくとなぜ游ゴシックがスタイリッシュな印象を与えるのかがわかるとおもいます。
いかがでしたか?和文書体の歴史や游ゴシックのコンセプトを取り上げました。
欧文書体については、前回の「TIPS vol.37識別性、可読性の高いGill Sansの歴史と特徴」と「TIPS vol.1古くから愛されるフォント"TRAJAN"の魅力」で取り上げてましたが、和文書体についてあまり考える機会がありませんでした。
みなさんはどうでしょうか。当たり前ですが気づいたことは和文書体は本来、縦組みを想定して作られているということです。ですが、縦組みと横組みどちらも綺麗に見ることができます。それは、日本の書体デザイナーがフォントの使うシーンをよく考えて制作しているからだと感じました。この記事がデザイン制作の参考になればとおもいます。
今日もあなたに気づきと発見がありますように
画面を回転してください