チームビルディングは、組織の成功には今や欠かせない重要な取り組みとなっています。
飲み会であるとか、社員旅行や運動会を代表する社内行事を通して組織内の結束を高める試みが行われていた終身雇用制度の崩壊、コロナ禍を経て、より戻しはあるものの、働き方は大きく変化しているからです。
市場の国際化や価値観の多様化に伴い、雇用形態やバックグラウンドの異なるメンバー同士が同じ組織で働くことも珍しくなくなった昨今、メンバー同士をどう取りまとめていけばいいのか?どうしたらチーム全体の生産性を高められるのか?
こうした課題の解決に一役も二役も買うチームビルディングの基礎知識と実践方法についてご紹介します。
ストラテジック・デザイナー
T.M
チームビルディングは、メンバー一人ひとりの能力を最大限に引き出し、効果的に協力し合える組織をつくり上げるプロセスを指します。チーム(組織)の目標達成のために複数の人が集まり、それぞれの強みを生かしながら一つのチームとして円滑に機能することを目指します。
では、そもそもチームの定義とは一体何でしょうか?チームとグループの違いは?こういった質問をされたら、みなさんならどう答えますか?
筆者が考えるチームとグループの違いは以下の通りです。
チーム(団):自分たちで役割や目標をつくることができる集団
グループ(群):役割や目標を与えられて機能する集団
違いは明らかです。チームというのは、「主体的に」動ける集団のことを指します。
では、良いチームとはどういったチームなのでしょうか。
良いチームを築くためには、まず良い「仕事」がなければならないと筆者は考えます。
つまり、チームが成し遂げたいミッションです。
スポーツチームがわかりやすい例ですが、サッカーや駅伝であれば「優勝」や「連覇」、もしくは各試合における「勝利」を得ることが「良い仕事」になるでしょう。
分野は違えど、良いチームというのは、概して実現したい未来が明確化されており、またメンバー全員で共有できている状態にあるチーム・組織といえるでしょう。
良いチームの共通点としては他にも挙げられます。
・対話的であること
→相手の話を聞くことができ、かつ自分の意見を伝え合える環境
・生成的であること
→自分の考えと相手(複数人)の考えを組み合わせて、新しいアイディアを生成できる環境
・発達的であること
→段階的に課題をクリアしていける関係性
では、そういったチームはどうしたら生まれるのか?
ここでチームビルディングという考え方が重要になるわけです。
チームビルディングの必要性に関しては、冒頭でもご紹介した通りです。時代や市場、その他の外的要因によりこれまでの組織体制から大きく変化を迫られた結果、さまざまなバックグラウンドや価値観の人が一つのチーム(組織)を組む機会が増えたことにあります。
では、チームビルディングを行うことで、どんな変化が起こるのか?代表的なメリットを5つ挙げてみました。
ざっと挙げてみましたが、いかがでしょうか。チームビルディングにより、個々の能力が引き出され、各々が満足感を得ながら業務に取り組める環境を整えることにより、帰属意識はもちろんのこと、結果的に組織全体の生産性が高まることにつながるのです。
AIの導入やDX化により、組織全体の効率化が推進されている会社も多いかと思いますが、旧来から変わらない(変えられない)部分が「人」です。
「組織は人なり」という言葉に代表されるように、組織を動かしているのは「人」であることに変わりはありません(今のところは)。そうである以上、避けて通れないのが「組織づくり」、つまり「チームビルディング」なのです。
さて、ここからチームビルディングの具体的な話をしていきます。
チームビルディングの重要性やそのメリットについてご理解いただいたところで、チームビルディングがどのようなプロセスを経て行われるのか、基本的なステップについてご紹介します。
(ステップ1)同調期:メンバーが集まり、お互いを知る段階(アイスブレイク)
(ステップ2)混乱期:意見の相違や衝突が生じ、葛藤が起こる段階
(ステップ3)調和期:互いを受け入れ、関係が安定する段階
(ステップ4)変態期:共通の目標に向かって協力する段階
各ステップの詳細については以下の通りです。いかなる集団も大体において以下のようなステップを経て、強固な関係を築いていることに気がつくのではないでしょうか。
(ステップ1)同調期
価値観の異なるメンバーが集まり、お互いを知る段階。心理的安全性がまだ低く、まとまりがないので、しっかりと指示を出せる人(強いリーダーシップを持てる人)が必要。また、今起きていることなどの情報をしっかり共有し、チームの行動指針の素となる価値基準を定める段階がステップ1です。
(ステップ2)混乱期
チームの行動指針を巡って意見の相違や衝突が生じる段階です。各メンバーが歩調を合わせていく上で、摩擦や葛藤はつきものです。互いをより深く知ることによって、各メンバーの自己主張や個性が表出するのもこの段階でしょう。
(ステップ3)調和機
互いを受け入れ、関係が安定する段階です。このフェーズに来て、心理的安全性は高まります。
(ステップ4)変態期
各メンバーがチームの目標をしっかり見据えた行動を主体的に、かつ、他のメンバーと協力してできる段階です。この段階まで来ると、メンバーが自分たちの取る行動に納得している状態とも言えます。
チームビルディングを実施する上で必要なアクションプランをまとめてみました。
よくある誤解ですが、チームビルディングは一回行えば完成するというものではありません。定期的に見直す必要のある継続的なプロセスだということを忘れないようにしましょう。
なぜなら、人間関係は各局面において変化するものですし、状況に合わせてチームの形態を変化させる必要にも迫られます。また、チームのメンバーが変わったり、新たなメンバーを迎える局面も想定されます。そういった場合に、どう対処し、強固な体制を維持していけるのでしょうか。
チームビルディングを効果的に実施するためには、筆者は以下の4つのプロセスを踏む必要があると考えています。
順番に説明していきます。
「そもそもなんで私たちはここで一緒にやっているの?」の、「そもそもなんで」の部分がはっきりしていない組織は分解しやすい、脆くなりがちです。
なぜなら、人は「意味」を求める生き物だからです。
たとえば、これを読むあなたもこれまでに一度くらいはこんなことを考えたことはありませんか?
「なんで自分は毎日こんなに忙しく働いているんだっけ?」
「なんで私がこれをみからなければならないの?」
「これって何の役にたつの?」
人は意味が感じられないことやワケが分からないことをするのに苦痛を感じる生き物です。
それはチームのメンバーとなった際にも同じこと。
「なぜ私たちはチームを組んでいるのか?」といった「Why」の答えがはっきりできていない、もしくはメンバー間でバラバラだと、どうしてもチームはまとまりきれないのです。
そこで、チームの共通した意味(ビジョン、ミッション、ヴァリュー、目標が含まれる)をきちんと策定しチーム内で共有・浸透させる必要があります。
人と人を結びつける接着剤の役割をするのが、「意味」なのです。
チームの各メンバーの役割と責任が明確になっていない組織は、業務の貫徹において混乱を招くかもしれません。
「自分が何をすべきなのか?どう動くべきなのか?」がわからないといったケースは多々見受けられますが、そこで、「自分で考えろ!」と言って突き放してしまうのはもったいないことかもしれません。
頼んでいない業務に余計なリソースを取られてしまうくらいならば、きちんと役割を振っておいた方が、業務の重複や欠落を防ぐことにもなります。また業務の効率化という観点でも、「適材適所」という考えが有用なのは言うまでもありません。
役割と責任を明確にし、メンバー一人ひとりが認識を共有することで、自分がチームにどう貢献しているのか?ということもはっきりします。メンバーのモチベーションアップにつながることもあるのです。
チームがメンバーがいかにコミュニケーションが取りやすい環境であるのか?というのは1.で取り上げた良いチームの条件「対話的であること」にも掲げた通りです。コミュニケーションが取りやすい=対話的であるために不可欠なのが心理的安全性の担保です。
「言いたいけど、これを言ったらマズいんじゃないかな……」と、本来ならばチームの存続を左右するかもしれないような重要な意見が言えない。これを言ったら上司に怒られるんじゃないか?と思い意見できずにいた経験をお持ちの方は少なくないのではないでしょうか。
こうしたケースは特に日本におけるチーム・組織に多く聞かれる話です。
ただし、立場を越えた率直な意見を交わす必要がある場面も現実にはたくさんあるのです。
そこで、有用なのが定期的なFB(フィードバック)体制の構築と運用です。
定期的にフィードバックセッションを行い、メンバー間で意見交換をします。チームの課題を早期に発見できることで、それだけ早く改善できます。FBをするには、さまざまなテクニックや気をつけるべき点がありますが、ポジティブなFB、未来の行動につながるようなFBができると、信頼関係の構築はもちろん、人間関係が良好なチームができます。
先にも言及しましたが、チームビルディングは一回限りの活動ではなく、継続的に行う必要があります。なので、以下のような形で定期的にチームの現状を確認する機会を設けることをおすすめします。
チームビルディングの出発点は、コミュニケーションが取りやすい体制の整備と、何よりもチームの意味を共有することからだと筆者は考えます。目指す方向(ビジョン)を理解するだけでなく、何のためにこのチームがあるのか?といった意味を各メンバーが共有している状態をまずは目指すことが重要です。
そのためにも、インナーブランディングをはじめ、まずは揺るがないビジョンやミッション、そしてバリューをしっかり共有できるような関係を組織内で築くことから始めてみてはいかがでしょうか。
2025年の今年、BOELは創業16年目を迎えます。これまでのビジョンを大切にしつつ最高のチームづくりのお手伝いができるよう、どんどん進化していきます!
今日もあなたに気づきと発見がありますように
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