動画編集をしたり、編集した動画を書き出す際に必要になってくる「コーデック」。 今回は動画を編集する際に必要なコーデック、動画を書き出す際に必要なコーデックをご紹介します。 (使用PC:Mac/アプリケーション:Adobe Premiere CC)
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L.S.
動画は簡単にいうと「静止画がたくさん集まったパラパラ漫画のようなもの」です。
動画の編集の際に必ず出てくる「フレームレート」は1秒間に何枚静止画が使われているかを表すものです。 例えば「1920×1080」のフレームレート「30fps」は1秒間に1920×1080pxの静止画が30枚使われていることになります。 そうなると1分間に「1920×1080」の静止画が「1800枚」必要となります。
この膨大な静止画の集合をそのまま動画にしてしまうと、短い尺でも何GBという大きなファイルサイズになってしまいます。 そのため「コーデック」という「圧縮のアルゴリズム」を使い、何枚もの静止画を色々な方法で動画ファイルへと圧縮しています。 圧縮することで、動画のファイルサイズを大幅に小さくしています。
コーデックで圧縮する方法は主に2つの方法があります。
1.可逆圧縮(ロスレス圧縮) 圧縮したデータをデコード(再生)したときにオリジナルと全く同じ状態(音質・画質が劣化しない)に復元する圧縮方法。 ファイル内のまとめられる部分をできうる限りまとめファイルサイズを圧縮します。 無圧縮データよりもファイルサイズは小さくなりますが、非可逆圧縮と比べるとファイルサイズは断然大きいままです。 オリジナルデータを損ねないという点でとても優れていますが、ファイルサイズの大きさ、また汎用性の面で非可逆圧縮コーデックの方が扱いやすいです。
2.非可逆圧縮 圧縮したデータをデコード(再生)したときにオリジナル通りに復元できない(音質・画質が劣化する)圧縮方法。 人が、見分け(聞き分け)られないレベルの部分をなくしてファイルサイズを圧縮します。 圧縮率が高いほど削ぎ落とされるデータ量が増えるので、圧縮率は高くファイルサイズは小さくなりますが、音質・画質は劣化してしまいます。
たくさんの種類がある中で代表的なものはMPEG-1、MPEG-2、MPEG-4/AVC(H.264)、DivX、WMVなどです。
今主流のコーデックはMPEG4 AVC(H.264)。 MPEG4、AVC、H.264など呼び方はちがいますが全て同じものです。 高画質で圧縮率も高く、低ビットレートから高ビットレートまで対応、Blu-Rayや最新のビデオカメラなどに採用されています。
そんなたくさん種類がある中でのおすすめはApple ProResです。 ほとんど劣化がなく、放送レベルの映像をMacでも編集できるデータの規格です。 非圧縮のファイルよりファイルサイズが小さく、動作性もよく編集時の操作性が損なわれません。 SDファイルサイズで HD画質を実現しているため、映像業界で広く採用されています。
動画の編集はアプリケーションを行ったり来たりを繰り返して進んでいきます。 色調整や補正をしてレンダリング(書き出し)、特殊エフェクトを使ってレンダリング、映像のカットの並び替えをしてレンダリング、文字を入れてレンダリングして…というように何回も映像に手を入れてレンダリングすることになります。 何度も何度もレンダリングを繰り返すうちに、映像ファイルはどんどん劣化してしまっています。 その点、ProResは何回レンダリングを繰り返しても品質が劣化しない特徴があります。
私も過去には、何度もレンダリングを繰り返し、その度に画質が悪くなっていく…という経験をしました。 そのときはエンコード(変換)の設定が合っていなかったのかを必死に探していましたね。
動画の編集は編集する映像をまずProResに変換して、ProResで編集、ProResで書き出し…とProResで完結するため幅広く支持されています。
まずは以下のページからにProRes書き出し用のプリセットをダウンロードします。そしてAdobe Media Encoderにプリセット(.epr)を読み込めば使えます!
AME CC 2014.1 ProRes presets (Mac only)
Adobe Premiereを使用している場合、直接Premiereから書き出すこともできるのですが一度に複数書き出すときなどにMedia Encoderを使うと便利です。
最終的に編集した動画を書き出す場合、動画の使い方によって使うコーデックはかわってきます。 YouTubeやFacebook、Instagramでアップ…など、SNSや動画投稿メディアだけでも様々なファイル形式が必要になってきます。
動画はコンテナと呼ばれる規格の中にさまざまな圧縮形式で、圧縮された動画が格納される構造になっています。 そのため形式(コンテナ)の種類をまず選択します。
よく使用される形式についてご紹介します。
次に動画を使用する用途に合わせてプリセットを選択します。 「こう使いたい!」にピッタリ合ったプリセットがあれば、この後の設定は全部自動で選択してくれます。 用途に合うプリセットがない場合は、カスタムで設定していきます。
ここで圧縮の形式を選択します。 形式でH.264などを選んだ場合には、圧縮形式も自動的にH.264となってしまうため、選択出来ない場合があります。
使う用途によって画面サイズは変化します。 一般的な用途としては以下のサイズが考えられます。
一般的には29.97です。 24フレームなどを利用する場合は、撮影段階からフレームレートを考えておいた方がよいでしょう。
いかがでしたか? コーデックなどと一言でいってもたくさんの種類があり、それにまつわる設定がたくさんあります。 これらを全て覚えなくても必要なもの、よく使うものをまずはおぼえていければと思います。
参考: Adobe Premiere Pro CCは、ノンリニア編集ソフトのデファクトスタンダード(業界標準)か!?
今日もあなたに気づきと発見がありますように
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