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  • 2023.4.28

「AIと共存する」これからの時代

AIの急速な発展により、「調べる」から「AIに質問する」、「人と働く」から「AIと働く」に変わろうとしています。
さまざまな業界にAIがどのような影響を与え、どのように変わろうとしているのかをご紹介します。

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R.S

「ググる」時代の終わり

「ググる」時代の終わり

今、ググる時代が終わろうとしています。
その背景にはAIの急速な進化があり、「調べる」から「AIに質問する」、「人と働く」から「AIと働く」に変わろうとしています。
さまざまな業界にAIがどのような影響を与え、どのように変わろうとしているのかを見ていき、AIとの関わり方を改めて考えるきっかけになればと思います。

急速な進化を遂げるAI

2022年11月、Open AI※1※1人工知能の研究・開発を行っている会社。が対話型AIチャット「ChatGPT」の提供を開始しました。
この対話型AIチャットは、これまでは実現できなかった人間の会話の中にある“含み”までも読み取り、自然な会話ができるということで人々に驚きをもたらしています。
驚異的なスピードで利用者が増え続けており※2※2利用者が1億人に達するまでTikTokは約9か月、instagramは約2年半要した。、月に1回以上サービスを利用した人がリリース後約2ヶ月で1億人に達しました。

ChatGPTのリリースを受けて、Googleはコアビジネスが危機に陥った時にのみ発信される緊急警報Code Redを発令し、2023年2月に対話型AIサービス「Bard※3※3Googleが発表した新たな対話型AIのサービス。 2023年3月21日に、アメリカとイギリスでBardの実験版が公開された。」のリリースを公表するなど、大きなムーブメントとなっています。

※1 人工知能の研究・開発を行っている会社。

※2 利用者が1億人に達するまでTikTokは約9か月、instagramは約2年半要した。

※3 Googleが発表した新たな対話型AIのサービス。 2023年3月21日に、アメリカとイギリスでBardの実験版が公開された。

AIの歴史

本題に入る前にそもそもAIとは何なのか、改めてご紹介します。
AI(Artificial Intelligence: 人工知能)とは、コンピューターサイエンスの一分野で、音声認識、意志決定、視覚など、通常は人間の知能に関連するタスクをコンピューターシステムが学習して実行可能にするものの総称を指します。
では、「人工知能(AI)」はいつごろから存在するのでしょうか。
その歴史は意外にも古く、紀元前8世紀にはその思想はあったと言われています。※4※4ギリシャの叙事詩「イーリアス」では、人間の姿をした生命体を作り出す描写がAIの初めだといいわれている。

※4 ギリシャの叙事詩「イーリアス」では、人間の姿をした生命体を作り出す描写がAIの初めだといいわれている。

AIブームの流れ

最初のAIブームは1950〜1960年代ごろアメリカやイギリスで起き、迷路やチェスなどの簡単なゲームをすることができるAIの開発がなされました。
その後、1980年代にエキスパートシステム※5※5特定の専門分野の知識をもち、事象の推論や判断ができるようにしたシステム。が注目された第二次AIブームが起き、今は第三次AIブームを迎えています。
その背景にはAIが自ら学習するディープラーニング(深層学習や特徴表現学習とも呼ばれる)が登場したことが挙げられています。
2021年にAIモデル開発のハードルが下がり、AIの内製開発にかじを切る企業も増えたことでAIの「民主化」が進み、学習データを効率よくつくりたいというニーズは一層高まっています。
それではこの民主化が進むAIが私たちの生活にどのような影響を与えているのか見ていきましょう。

※5 特定の専門分野の知識をもち、事象の推論や判断ができるようにしたシステム。

AI×教育

AI×教育

ChatGPTの登場により、教育の現場は大きな変革を迎えています。
質問するだけで説得力のある自然な回答が返ってくるため、読書感想文やレポートなども簡単に作成できてしまいます。
そのため、学習への影響を懸念する声も多く出てきています。
これに対し2023年4月6日、文科省は「生成系AIの取り扱いについて、学校現場が主体的な判断をする際、参考となる資料の取りまとめを行う方針」を発表しました。

注目が集まる教育機関の対応

他にも次々と大学側が方針を打ち出し、今後の対応に注目が集まっています。
下記はその一例です。

◯東京大学
AIのみを用いた論文やレポートの作成を禁止。
活用法や問題点について議論の場を設ける。

◯東北大学
学生・教員それぞれに「留意事項」を公表。
多くの学生が使用することを想定した上で必要に応じて対策を講じるとし、対応案を示す。

◯上智大学
「成績評価における対応方針」を公表。
レポートや学位論文等で無許可での使用禁止。
使用が確認された場合、不正行為として厳格に対処。

ここで注目したいのはAIの使用を全面的に禁止していない点です。
使用を禁止するのではなく、使うことを前提とした課題の出し方、学習のあり方を考えていくことが求められています。
つまり教育現場がAIに適応するために形を変えようとしているということです。
かつて電卓やインターネットが登場した時も教育への懸念の声が高まりました。
しかし、今では当たり前のように使用されています。
そのため、今後の学習方法などは大きく変わっていくことは確実と言えるでしょう。

未来のテストはどうなるのか

ではどのように変わっていくのでしょうか。
個人的には、AIにできないもの・ことに注目されていくのではないかと考えています。
AIは一般的な回答を出すことには長けていますが、個人的な思いや価値観については教えてくれません。
そのため、テストの点数よりも、学生自身の意欲や学ぶプロセスの方が評価される時代が来るのではないでしょうか。
もしかしたら10年後、20年後のテストは数学や科学などのAIが得意とする分野がなくなり、交渉術などの人間にしかできない分野がメインになっているかもしれません。

AI×タクシー

AI×タクシー

原材料・エネルギー高などによる物価高が続く中、賃上げに踏み切る企業が増えてきています。
しかし、賃上げは中小企業の経営を大きく左右します。
中には賃上げできず、人材が流出して倒産する会社も出てきています。
長年、人手不足に悩まされているのがタクシー業界です。
また、タクシー業界は自動運転の普及により10年後になくなる可能性の高い仕事だとも言われています。

働き方の多様性を生むAIシステム

そんなタクシー業界で、新たな人材を確保するために、AIを活用する流れが出てきました。
つばめグループが導入したのが「AI需要予測システム」です。
これは過去10年間、1200台分のタクシーの乗降データや現在の空車状況をAIに学習させ、数字や色で必要なタクシーの数などをナビ上に表示してくれるシステムです。
このシステムの導入により、これまで運転手の経験や勘に頼りがちだったのを、未経験でも安定した収入が得られるようになったと言います。
一人当たりの売り上げはおよそ15%も上がったそうです。
また、月8日~18日休み、昼勤務などを選択できる働き方を導入しています。
休日が増えればその分収入も減るのが世の常です。
しかし、このシステムのおかげである程度の最低月給は確保できていると言います。
つまり、AIシステムが多様性のある働き方を可能にしたと捉えられます。
そのため、多様性のある働き方を求めている若者の求職数の増加も期待されています。

AI×タクシー

会社名:つばめあんしんネットグループ
https://www.tsubame-recruit.com/service/ai_system/

AIが仕事の幅を広げる

この事例で注目したいのは、AIが専門性の高い仕事や経験がものを言う仕事の敷居を下げ、未経験でも働きやすくなったということです。
最近では「10年後になくなる仕事」や「AIに奪われる仕事」などといった記事をよく見かけます。
しかし、AIの進化によって増える仕事、働きやすくなる仕事にもっと目を向けるべきだと考えます。
そのような観点からこの事例を見ると、将来的な“AIとの共存”を考える上でとても参考になるのではないでしょうか。

AI×医療

AI×医療

近年、AIは医療現場でも広く利用されるようになりました。
医療におけるAI導入では、診断、治療、医薬品開発、介護、ゲノム医療など、利用できる範囲は多岐に渡っています。

医療現場の救世主AIドクター

医療AIの進化の背景には医療現場の人材不足があります。
そんな中、注目されているものの1つがAIドクターです。
イギリスのBabylon Health社はAIドクターにMRCGPテスト※6※6研修中の一般開業医師が受けるテストのこと。を受験させ、人間の医師のスコアを上回る結果を出したと発表しています。
また2023年2月9日には、米医療企業の研究チームがchatGPTに米国の医師資格試験問題を解かせたところ正解率は52〜75%で合格ラインとされる60%前後に達したと発表しました。
今後、医学関係の知識を追加したり学習方法を改善することで、成績はさらに向上するとみられています。

※6 研修中の一般開業医師が受けるテストのこと。

今後の医療現場はAIと人間との連携が不可欠

このように医療AIが目覚ましい発展を遂げる中、心配になるのが看護師や薬剤師の仕事が奪われるのではないかということです。
しかし、完全に取って代わられることはないと考えられています。
なぜなら医療現場は非常にセンシティブな現場だからです。
​​患者さんの気持ちに寄り添い、きめ細かい配慮をし、適切なコミュニケーションが求められます。
これはAIが不得意としている分野の1つです。
また、機械であるがゆえの不具合なども考えられ、仮に重大なトラブルに発展した場合、責任の所在をどこに置くのかといった課題もあります。
そのため、今の段階では医療現場のAIは医療スタッフ全ての仕事を奪うとは考えられていません。
しかし、AIが医療スタッフをフォローし、人間とAIがお互いに連携することでより素晴らしい医療の発展を目指していくことが求められています。

(おまけ)AI化が行き着く先は?

AI化がどのように私たちの生活に影響を与え始めているのか紹介してきました。
では、今進んでいるAI開発の終着点はどこなのでしょうか。
試しにChatGPTで質問をしてみました。

(おまけ)AI化が行き着く先は?

この答えを聞いて、怖い未来を想像をしてしまいました。
AIが人間を超える知能や価値観などを持つとき、司法・立法・行政がAIに支配される可能性があると考えます。
そうなると人間とAIの優位性というものも変化してくるのではないでしょうか。
AIに支配されるようになれば当然それに反抗する人たちが出てきます。
そしていずれは人間 vs AIのような争いが起き、ターミネーターのような世界が来る…
かなり脱線して妄想を膨らませてしまいましたが、そうなってもおかしくない未来が待っているかもしれません。
そのため、今から倫理観について考え直し、アップデートしていく必要があります。

人間 vs AIの可能性

最後に「人間とAGI(人工知能)が対立することはあるのか」という質問もしてみました。

(おまけ)AI化が行き着く先は?

上記の回答から倫理的・社会的な問題を意識し、適切な対策を講じることができなければ対立する可能性がある、というようにも読み取れます。
また、もし悪意を持った人間が裏から操ったとしたら、意図的に人間とAIとの対立関係を作ることもできるのではないでしょうか。
もし、そのようなことが起きてしまった場合に備え、情報を鵜呑みにせず、正しいかどうか自分で判断できるようになっておく必要があります。

最後に

現在のAI化の流れについて紹介してきましたがいかがだったでしょうか。
2023年4月10日には、「ChatGPT」を開発したアメリカのベンチャー企業「open AI」のサム・アルトマンCEOが自民党の「デジタル社会推進本部」の会合に参加しました。
そこでアルトマンCEOは日本に新たに事業拠点を設けることを明らかにしています。
そうなると、今後AI化の波がさらに高まっていくことは想像に難くありません。

AIをめぐっては、松野官房長官はさまざまな利点がある一方、新たな懸念が生じるとの見方を強調しました。
その一方で、懸念への対応を行った上で、国家公務員の業務負担軽減への可能性などを検討する方針も明らかにしています。
イタリアではChatGPTの使用を一時禁止する動きも出てきているため、今後日本の対応については注目していく必要があります。
これまでの当たり前が急速に変わっていく中で生き残るために、AIと共存する方法を考え、準備をすることの必要性に気付くきっかけになれば幸いです。

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