12月になり、年の瀬が近づいてきました。みなさんは、もう年賀状の準備を始めていますか? しかし、いざ送るとなると、意外と知らないのが年賀状のマナー。 心配な方のために、基本的な年賀状のマナーとデザイン例をまとめました。
DESIGNER
N.S.
まず、お正月は「歳神様(年の神様)」をお迎えするならわしです。1日を元日、3日までを「三が日」、7日までを「松の内」とよびます。
前の年に年賀状をいただいた方、今年お世話になった方に出します。
1月3日までに届くように出します。その年いただいた年賀状への返事は、松の内までに届くようにしましょう。時期を逃すのは失礼です。
到着が松の内を過ぎるときは、年賀状ではなく寒中見舞いを出します。
また、一般はがきや私製はがきを使うときは、「年賀」の朱書きを入れましょう。それがないと、一般郵便物として年内に届いてしまいます。
喪中で年賀状を辞退するときは、欠礼状を出します。相手が年賀状の準備を始める前に届くように出しましょう。
全て書き終えたら、誤字・脱字がないかよく確認しましょう。
「謹賀新年」などの賀詞は必ず書きます。
目上の人へ出す際は、2文字の賀詞は避けましょう。「賀正」「迎春」などの2文字の賀詞は、「謹んで」「恭しく」といった意味が含まれず丁重さに欠けてしまいます。
また、賀詞の意味の重複に注意しましょう。
「賀正」「Happy New Year」などの賀詞を書いているのに、本文に「あけましておめでとうございます」と書くと意味が重複します。
「新年あけましておめでとうございます」もよく見る表現ですが、「新年」と「あけまして」の意味が重なっています。「新年おめでとうございます」もしくは「あけましておめでとうございます」と書きます。
また、よく見る「A Happy New Year」は、冒頭のAは不要です。クリスマスカードなどによく書かれる定番表現「Merry Christmas and a happy new year」ではaをつけます。
お世話になったことへの感謝の気持ちや近況を書きます。文章は簡潔にし、暗い話題は避けます。また、相手の健康や幸せを願う言葉を添え、相手を気にかけていることを示しましょう。手書きしない場合も、自筆でひとこと書き添えると印象が良くなります。
忌み言葉とは、縁起が悪いため使ってはいけない言葉のこと。相手の不幸を連想させるような表現は避けます。
「去年」の「去」は、「去る」という意味が新年にふさわしくありません。「昨年」「旧年」と書きます。ほかにも、「切れる」「落ちる」「終わる」「離れる」なども避けるようにします。
「喜」は、感情的に嬉しいときに使います。自分のことを述べるときにも使えます。
「慶」は、おめでたいことを祝うとき、新年や結婚など相手の慶事を祝福するときに用います。自分のことを述べる際には使えません。
従って、新年の挨拶ではどちらも間違いではありません。
「元旦」は「1月1日の朝」なので、「1月元旦」と表記するのは誤りです。「2018年元旦」「平成30年元旦」と書きます。
「、」「。」などの句読点は年賀状にはいれないのが正式です。改行する、スペースを空けるなど書き方を工夫し、読みやすい表記を心がけましょう。
「様」を使うのが一般的。誰にでも使えます。
例)鈴木 一郎様
夫婦や家族連名の場合は、それぞれに「様」をつけます。
例)鈴木 一郎様
花子様
会社に送る場合は「御中」を使います。株式会社や有限会社は略さず記入しましょう。
例)○○○○株式会社 御中
部署を入れる場合は、部署に「御中」をつけます。
例)○○○○株式会社 営業部御中
特定の人に送る場合は会社名には御中をつけず、人名に「様」をつけます。
例)○○○○株式会社 鈴木 一郎様
役職を書く場合は、名前の上に、名前より小さく書きます。役職自体が敬称なので「課長様」のように「様」をつけるのは誤りです。
例)社長 鈴木 一郎様
・松竹梅
松は一年を通じて常緑を保ち、竹はまっすぐに伸び、梅は厳しい寒さの中で花を咲かせることから、古くから縁起が良いモチーフとして用いられます。
・扇
末広がりの形状の扇は未来への展望が広がるという発展、繁栄の意味のある吉祥文様です。
文字をそのままモチーフのように使ったり、イラストと組み合わせて干支を表現することもできます。
例)
参考サイト 右:年賀状2018 No.15
参考サイト 左:年賀状2018 No.17
使う色を3色程度にすると、すっきりまとまります。たくさん色を使いたいときは、トーンを揃えましょう。
和風のデザインにするときは、日本の伝統色がよく馴染みます。
こちらのサイトでは、伝統色をカラーコードや配色パターンとともに見ることができます。
日本の伝統色については、こちらでも紹介しています。
「TIPS vol.21 DESIGN日本古来より伝わる色。美しい伝統色の魅力」
紙を変えると、見た目や手触りでインパクトを与えられます。おすすめの紙をこちらで紹介しています。
細々と書きましたが、あまりストイックになりすぎず、自分らしい年賀状を作ってみてください。
投函は、12月25日までに。
※6月に、はがきが52円から62円に値上げされましたが、12月15日~翌年1月7日に出された年賀はがきは52円で送ることができます(期間中、私製はがきも表面に見やすく「年賀」と朱記すれば52円で郵送可)。
この期間より早くても遅くても、一般郵便物(62円)となりますのでご注意を。
参考文献:『作法が身につく しきたりがわかる 冠婚葬祭マナーの便利帖』2014年、高橋書店「デザインノート 2016 No.67」
参考:2020年の年賀状はいつまでに出す?3分でわかる正しい年賀状の書き方・マナー
参考:年賀用のNGワードって?年賀状の賀詞(決まり文句)と日付の書き方
参考:東京国立博物館
今日もあなたに気づきと発見がありますように
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